
君ならで 誰(たれ)にか見せむ わが宿の 軒端(のきば)ににほふ 梅の初花
源実朝(『新和歌集』春)

あなたでなかったら 一体誰に見せようか?
軒端に一番に咲いた この梅の花を……
御家人の一人である塩屋朝業(しおやともなり)という人に、実朝公が梅の花を一枝贈った際に詠んだ歌です。
朝業は歌の才能があり、実朝公にもとても信頼されていた家臣の一人。
この歌と梅の花を受け取った朝業は、感動の意を込めてこんな返歌を詠んでいます。
うれしさも にほひも袖に あまりけり わがため折れる 梅の初花
大河ドラマ「鎌倉殿の13人」では、殺伐としていく幕府の中で、実朝公とその周りの人たち(太郎、和田殿、千世姫、三善殿)との心の交流が温かさが、よりいっそう対比されて印象的でしたよね。
そんな心温まる家臣との交流の一端が、こちらの歌からも感じられます。
実朝公はきっと、この歌のように……梅の花の美しさや、日々の小さな幸せを、周りの大切な人たちと分かち合いたかったんだと思います。



いやあでも、こんな歌もらったら嬉しいですよね…!
「鎌倉殿」から3年弱……
2025年3月現在……2022年放映の「鎌倉殿の13人」から、約3年経ちました。
個人的な話なのですが、体調を崩したりと、そこからいろいろなことがありまして……



やっぱり、鎌倉殿と実朝公が好き…!!
となりました。
一時期は、もう終わってしまった大河ドラマだし……いまだに大好きだけど、「今更?」って思われるかも……なんて思って、描こうかどうしようか悩んでいた時期もありました。
もちろん、実朝公はずっと好きでライフワークなのですが、せっかく「鎌倉殿の実朝公」という形で、たくさんの人たちの心の中に素敵なイメージが出来たし、私もそのイメージが大好きなので、そのイメージのまま、実朝公の歌の世界を作品にしていけたらより伝わりやすいな……という気持ちもありました。
そんなこんなで、いろいろ経て……



実朝公forever。好きなら描いてきゃええねん!
いろいろ吹っ飛びましたが
いろいろこまかいことを悩まずに
ただ好きという気持ちを大切に
表現したいという気持ちを大切に
作品をつくりつづけていこう!
と思いました。
実朝公の歌が、時を超えてたくさんの人の心を打つのは、きっと歌を詠んだその時、いろんな世の中のしがらみから解き放たれて、雑念もなく「今ここを表現したい」という気持ちでいっぱいだったからなんじゃないかと思います。
だから、私も「今これが大好きだ。今、これを表現したい!」を大切に、作品を作っていきたいと思います……という気持ちを込めて、描いたのが上のイラストになります…!
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