


あてなるもの
薄色(うすいろ)に白襲(しらがさね)の汗衫(かざみ)。
清少納言『枕草子』
かりのこ。
削り氷(けづりひ)に甘葛(あまづら)入れて、あたらしき鋺(かなまり)に入れたる。
水晶の数珠(ずず)。
藤の花。
梅花に雪の降りかかりたる。
いみじううつくしきちごのいちごなど食ひたる。
清少納言が「高貴で上品」だと思うものを挙げています。
この文章を見て、「清少納言もかき氷が好きだったんだ!」と親近感を覚えたので、イラストにしてみました。
こうして絵にして並べてみると、かき氷を中心として、なんとも涼しげで淡い色合いのかわいらしいものが並びました。
薄色に白襲の汗衫
「汗衫」というのは、小さな女の子用のおめかし用の上着です。
「薄色」というのは淡い紫色のこと。
薄い淡色の着物の上に、白い上着を着ることで、ほんのりと下のうす紫が透けているような、ふんわりと美しい着物の様子です。
小さな女の子がそんな着物を着ているところ、想像しただけでも可愛いです…!
とはいってもちびっ子ですから、おめかしして儀式に臨むのは退屈だろうなと思って、今回はちょっぴりつまらなさそうなお顔にしてみました。笑
削り氷に甘葛
「削り氷」というのは読んで字の如く、かき氷のこと。
「甘葛」はツタの茎から樹液を採取し、煮詰めた黄金色のシロップです。
上記のサイトで奈良女子大学の方々が甘葛の再現をされていますが、ひとつひとつの茎から採れる樹液の量はたくさんあるわけではなく、清少納言の時代でも、とても貴重なものだったようです!
お味は甘味が強いのにさらっとしていて、特別な香りがあるわけではなく、氷になじみやすいさっぱりとしたシロップなんだそうです(『古典がおいしい!平安時代のスイーツ』より)。
さらには氷も、当時は当然冷凍庫などもないため、冬の間に採った天然氷を「氷室」という室に入れて保管したものを夏場に使っていました。
氷もシロップもなかなかに貴重、そんな貴重なスイーツを涼しげで高級感のある銀の器に入れて食べるのですから、極上の味わいだったことでしょう…!
昨今のかき氷も、結構高級で豪華な見た目のものが人気ですよね。
灼熱の夏場に、美しく宝石のような見た目で、涼を届けてくれるかき氷……すこしお高くても、かき氷を味わう時間まるごと、自分へのご褒美として楽しみたくなるのは、いつの時代も一緒なのかもしれません。
かりのこ、水晶の数珠、藤の花、梅花に雪
そのほかに並んだものたちも、透明感のある美しいものばかりで、清少納言の美的センスの高さを感じさせます。
かりのこは、鴨などの水鳥の卵で、淡いベージュのものや、淡いミントグリーンのものがあるそうです。
淡色、キラキラ、透明……こうして見てみると、今も昔も女子の好きなものは変わらないな、と感じます。
「もの」をならべていく「枕草子」の「ものシリーズ」(と言って良いのかわかりませんが…)、現代のエッセイみたいだし、リズム感が良くて読みやすくて、個人的にとても好きです。
今回は見た目も美しいシリーズであり、清少納言が日常の中で集めた綺麗なものコレクションを見せてもらっているようで、なんだか子供の頃に友達と宝物箱を見せ合っていた時のような気持ちになりました。



