世の中は 常にもがもな 渚こぐ あまの小舟(おぶね)の 綱手かなしも
鎌倉右大臣 源実朝
この歌、百人一首に入っています。
藤原定家さんは、歌人一人につき一首ずつを選んでいて、その選び方については諸説あり、そちらも深掘りしていくと面白いのですが……
実朝公は、有名な「大海の磯もとどろに寄する波われてくだけてさけてちるかも」とか、「箱根路をわが越えくれば伊豆海や沖の小島に波の寄る見ゆ」など、いろいろと人気な歌をお持ちです。
そのどれもが大らかだったり、独特な感性だったり、鎌倉らしさを感じるものが多いのですが、そんな中でこの「世の中は…」の歌は、失礼ながら「ちょっと地味だな……」と私はよく思っていました。
いや、これも良い歌には間違いないけど、でももっと実朝公らしい歌がいっぱいあるのに、なぜ…?と。
でも、時が経つにつれ、この歌のしみじみとした良さをじんわりと感じるようになってきました。そして鎌倉の将軍である実朝公らしい歌である、とも。
穏やかな日常の何気ない景色が、当たり前じゃないと気付かされて、愛おしくなる。
そんな気持ちになることは、きっと誰でもあると思います。
実朝公はそこに「かなし」という言葉を使っています。
「愛おしい」と「悲しい」二つの意味を持つ古語です。
すずなごん
まことにすみません、ここから先執筆中です…!!(2024.11月現在)
「かなし」については、プロフィールのこちらの文もご覧ください…!
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