プロフィール

こんにちは!すずなごんと申します。

和風なイラストを描いております。

とくにいわゆる平安貴族の麻呂が大好きで……麻呂を描くイラストレーター「麻呂ストレーター」を名乗っております。

ざっくりプロフィール

  1. 住んでいるところ相模国と武蔵国のあいだ
  2. 好きな歌人・詩人:源実朝、立原道造
  3. 好きな場所:鎌倉、横浜、函館、倉敷、京都、奈良、軽井沢、長崎
  4. 好きな船:氷川丸、タイタニック、実朝公が造った幻の船
  5. 好きな作家:梨木香歩さん
  6. 絵の制作環境:色鉛筆、水彩絵の具、パステル、ときおりパソコン

さて、この先はなぜ麻呂なんでしょうか……??という問いに答えるべく、好きなことや表現したいことを徒然なるままに書いていたら、とんでもなく長くなってしまいました……。

「すずなごんってどういう人なんだろう?」と興味を持ってくださった奇特な方、お暇な時に読んで頂けるととても嬉しいです。

好きなもの

古いもの

学生の時から大好きだったのが、歴史や古典などの「古いいもの(古くて良いもの)」でした。

『徒然草』の作者、吉田兼好さんはこう言っています。

ひとり灯のもとに文をひろげて

見ぬ世の人を友とするぞ

こよなう

なぐさむるわざなる

(古典をひもとけば、会ったことのない遠い昔の人と友達になれる。それはものすごく心慰められて楽しいことだよ!)

吉田兼好『徒然草』

私も、会ったこともない遠い遠い「見ぬ世の人」と出会い、共感できる点を見つけては

「こんなに遠いところで生きていたあの人も、私と似ているところがあるんだ!」

「すごくすごく昔の人なのに、この人の気持ちすごくわかる……!」

なんて、勝手に親近感を覚えて友達になるのが楽しかったのです。

なぜだか知らないけど、心癒されるんですよね。でも、あの兼好さんもそうおっしゃっているのだから、それは間違いないことなのでしょう(彼もまた、「見ぬ世の友達」)。

古ーい建物や歴史の舞台となった史跡などに旅をするのも、大好きです。

「見ぬ世の人」が歩いたり暮らしたりしたその場所に立つと、さらに彼らに思いを馳せやすくなるようです。

鎌倉の歌詠み将軍・実朝公

大学の時に、鎌倉幕府の三代将軍・源実朝公にハマります。俗に言う、沼というやつです。

もともとは、「暗殺されてしまった可哀想な人」という印象でした。

ところが、古典の教科書に載っていた

大海の 磯もとどろに 寄する波 われてくだけて さけてちるかも

源実朝『金槐和歌集』

というなんだか「東映」マークのオープニングみたいな激しい荒波の歌は、周りに並んでいた花散り月霞む美しい和歌たちの中でめちゃくちゃ浮いていましたし、

いざ調べ始めると、正岡子規や太宰治などの近代の文豪たちが尋常じゃないくらい実朝公のファンであるということが分かったりして、「あれ、この人ただものじゃないぞ……」なんて思っているうちに、あれよあれよと実朝公の沼に引きずられていき、早十数年が経とうとしております。

もちろん、「鎌倉殿の13人」も大変、楽しみましたよ!柿澤さんの実朝公、最高でした……!!

実朝公のことは話すと長くなってしまうので……(笑)ものすごく割愛すると、やっぱり実朝公には、作品を作っていく上で、かなりの影響を受けております。

和歌と「かなし」

実朝公といえば、やはり和歌。和歌の世界も、知れば知るほど奥が深い、面白い世界でした。

雄大で、言葉が不思議な力を持っているような『万葉集』

上品で、平安絵巻のような繊細な美しさの『古今和歌集』

より洗練されて、「新しい美」を作り出そう!という意識が感じられる『新古今和歌集』

それらのやさしく美しい言葉の世界を絵で伝えたいと思うようになり、和歌をテーマにした絵や漫画を描くようになりました。

われらが実朝公は、上記の三つの歌集の世界を行ったり来たりしながらも、京都が文化の中心という世の中で鎌倉(と伊豆)から一歩も出れずに作品を作り続けたこと、そして自身の天賦の才により、はからず(?)も独自の感性がにじみでた歌をぽろりぽろりとこぼしています(そんなふうに見える)。

「われてくだけて さけてちるかも」のROCKな感じも大好きですし、

切なくて美しい、散ってしまった萩の花の歌も大好きです。

そして、百人一首にも収録されているこの歌……

百人一首所収の名歌①
百人一首所収の名歌②
鎌倉殿仕様です…!!

世の中は 常にもがもな 渚こぐ 海人の小舟の 綱手かなしも

源実朝『金槐和歌集』

「かなし」という言葉がとても好きなのです。

現代語の「悲しい」とは違って、古語の「かなし」には「悲しい」「愛しい」二つの意味が含まれています。

実朝公が、何気ない日常の景色を見て「かなし」と思ったのは……その平和なありふれた風景が、たびたび起こる戦で、いつまでも続くものではないとわかっていたから。

いつか消えてしまうのが分かっているから、「愛おしい」と思うのと同時に、「悲しい」と思う。

でも、悲しいからこそ、今この瞬間がよりいっそう、愛おしい。

そういう気持ち、現代を生きる私たちにも、同じようにあるものですよね。

この「かなし」という気持ちは、実朝公だけじゃなくて、実は和歌全体の根底にも流れている気がしています。

人生は寂しいお別れもたくさんあるし、私たちもいつまでも生きていけるわけではありません。

だからこそ、今この瞬間のいのちの美しさを残したいという思いから、和歌は月や花の美しさや、誰かを愛おしく思う気持ちを歌っているように思えてなりません。

やさしく美しい贈り物

佐保姫(春の女神)とつばめさん

和歌は、そんな気持ちを「日本語」というやわらかい言葉と、季節の美しい花鳥風月でラッピングするように彩ったやさしく素敵な贈り物。

もちろん、失恋だったり、先ほど挙げた実朝公の荒波の歌だったり、激しい歌もあるのですが……「大切な人に贈る」という性質があるからでしょうか(神様に捧げる、という役割も)。基本は、やわらかいやさしい美しさこそがその真骨頂なのではないかな、と思います。

「和風」にも「わびさび」のような究極のシンプルだったり、花街のような艶やかな雰囲気だったり……色々とありますが、「和」という漢字が「なごやか」「やわらかい」という意味を持っているように、すずなごんの「和風」イラストは和歌のようにやさしく美しい、誰かへの贈り物になるといいなと思っております。

海と船と星空

月の舟ときんもくせい

ほかにも……浪漫がある壮大なもの、大好きです。海、船、星空、月、宇宙……。あ、歴史もそうですね!

実朝公もたぶん、海と星空好きと見えます(笑)。そんなテーマの和歌も結構詠んでいますし、外国に渡るための大きな船を作ったりもしていますし……(行けなかったけど)。

実朝様の天の川の歌
天の川(和歌では秋の季語)を詠んだ歌

私は最近、横浜港に浮かぶ氷川丸が大好きです。

旅客船としてたくさんの夢を運んだ後、戦争中は病院船としてたくさんの人々を救い……長い歴史を背負いながら、今は物言わず静かに港に留まっている美しい船です。こちらもいずれ作品にしていけたら……。

そんなわけで……

何だか長々と好きなことを書いてしまいましたが、なんとなくどんなことが好きで、どんな作品を描いているのか、伝わりましたでしょうか。

気になってくださいましたら、ぜひ、トップページから作品を見て頂けると嬉しいです!