
夏の野の繁みに、ぽっと灯火のように咲く可憐な朱色の花。
本当は一番美しい季節にお届けしたかったのですが、少し時間が過ぎてしまいました。
夏の野の 繁みに咲ける 姫ゆりの 知らえぬ恋は 苦しきものぞ
『万葉集』大伴坂上郎女(おほとものさかのうへのいらつめ)
(夏の野原の草むらにひっそりと咲いている姫百合のように、誰にも気づかれない私の密やかな恋心は、なんと苦しいものでしょうか)
ずっと好きな、切ない片思いの万葉の歌です。
以前も一度この歌の絵を描いております↓
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姫百合って、ふつうの百合くらいのサイズを想像していたんですけど、実際はもっとずっと小さくて可憐なんですよね。
緑一面の繁みの中、燃えるような色で咲く姫百合の花。情熱的な色、でも、ちゃんとかわいい。
心の中の激しい(!?)想いを、あえてこの小さく可憐な花に託す大伴坂上郎女さんのセンス、なかなかにニクいです。
今回の作品では、そんな万葉の時代をいろどっていた「天平の文様」も背景に描いてみました。
最近、雅やかな平安の文様をイラストに描き入れることにハマっているのですが、シルクロードを渡ってきた天平の文様はまたそれとも少し違って、オリエンタルな雰囲気を感じます。
どの時代の和歌も素敵ですが、万葉集の歌は、特にのびのびと自然に歌わているよう。
人が作ったものなのに、ふしぎと鳥や花の声を聞くような響きに思えます。
姫百合の花の周りに、万葉の人々が生きていた時代の香りが漂っていれば嬉しいです。








