ひさかたの 雨も降らぬか 蓮葉(はちすば)に 溜まれる水の 玉に似たる見む
よみ人しらず
弁天さま
ひさびさに雨が降らないかしら……蓮の葉っぱに水が溜まって宝石みたいになってるのが見たいのよ
鶴岡八幡宮の池一面に咲く蓮の花……なんだかこの世ならぬ、神秘的な雰囲気です。
さすがお釈迦様がいつも乗っている花。
以前、蓮の花のこんなイラストも描きました↓
平家物語<蓮> 海ならぬ蓮池の底の都を思う、二位尼と安徳天皇。 鶴岡八幡宮には「源氏池」と「平家池」がありますから、だれもいない夜などには、こんなこともあるのかもしれません。…
とっても幻想的な蓮の花ですが、葉っぱは葉っぱでなんだか個性的。
あの大きな丸い葉っぱは見ているだけで気持ち良いし、乗りたくなるのですが、ひみつはその葉っぱの表面に。
蓮の葉の表面にはとっても細かい凸凹があり、これによって水滴は葉っぱにしみ入ることなく、雨の日でも濡れずに呼吸をつづけられるのだとか。(参考文献:『季節を知らせる花』山川出版社)
なので水滴はころりころりと、白玉みたいにつやつや輝きながら、蓮の葉の上をころがっていくわけなのです。
うわさで聞いた話ですが、蓮の池では雨の日、蓮の葉っぱに水が溜まると重みで葉が下を向き、水分が落ちるとまた上向きに戻る……その時の反動で葉っぱに残った水の玉がものすごい勢いで飛んでいき、「ばしゅっ」「ばしゅっ」という音がするのだとか……。
雨の日の蓮の葉っぱ、なかなか面白そうな景色ですね!
昔の人も、そんなふうな景色を楽しみながら雨の日を過ごしていたのでしょうか。
今年(2021年)は雨が少なめの空梅雨だったこともあって、ますますこの歌に共感を覚えてしまいました。
それにしても、心のつぶやきがすうっと歌になったかのような、自然で素朴な歌ですね。
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