夏の野の 繁みに咲ける 姫百合の 知らえぬ恋は 苦しきものそ
大伴坂上郎女(おおとものさかのうえのいらつめ)
万葉集からの一首です。
作者の「大伴坂上郎女」さんとは……
めちゃくちゃ長い名前なので、親しみをこめて、いらつめちゃん、いや……いらつめさんとお呼びすることにしましょう。
いらつめさん、一体どんな人?
→恋多き、元気な、女王様のような女性
(田辺聖子さん出演の番組「日めくり万葉集」より)
そんな女王様気質から、詠む歌もなんだかカッコイイ大人の女っぽいのが多いみたいですよ。別名「恋の和歌の名手」!
恋の女王の「知らえぬ恋」とは……
夏の野にひっそりと咲いている姫百合のように、だれにも知られない恋は苦しいの、といらつめさん。
名門に生まれ、穂積親王という皇族に嫁いだいらつめさんは、女性のエリート街道まっしぐら。
その立場を考えれば、まあ人に知られちゃまずい恋も色々あるのだろうと予想します……(笑)
「姫百合」という可憐な名前から、白い花を想像したのですが、調べてみたら燃えるようなだいだい色のお花(イラストを見てね)。
ひっそりと儚げな歌のようでいて、こんな強い色を心に秘めてるなんて、やはり彼女は女王様です……。
あやめも知らない恋の歌 ほととぎす 鳴くや五月(さつき)の あやめ草 あやめも知らぬ 恋もするかな よみ人しらず/古今和歌集 ほととぎすが鳴く五月のあやめ草。そのあやめじゃないですけ…
ちなみに上記の記事でとりあげた「あやめも知らぬ恋」の歌とならんで
花にまつわる恋の歌 三首
として個人的に好きな一首です。(もう一首は、鎌倉の萩ツアー記事に出ております↓)
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