手のひらに結ぶ、天の川【七夕のおもしろ風習①】

袖ひちて わが手に結ぶ 水の面(おも)に 天(あま)つ星合ひの 空を見るかな

新古今和歌集・三一六 藤原長能

現代の七夕では、笹の葉にお願い事を書いた短冊を吊るしたりしますが、昔はもっといろんなことをしていたようなんですよ。

その記事もこれから書きたいと思っていますが、なんだか昔の人の七夕の様子が垣間見える、素敵な一首を発見したのでご紹介しました。

「星合い」というのは、文字どおり彦星と織姫の星が出会うこと。とても綺麗な言葉ですね。

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平安の人は「水」に映して星を見る

彦星と織姫のお話は中国からやってきたものですが、この二人の星を水に映して見るというのは、日本的なことらしいです(『新潮日本古典集成 新古今和歌集上』より)。

お酒に月を映して飲んだりするのも好きですもんね、平安貴族の方達。

江戸時代には、たらいに彦星と織姫の星を映し、ゆらゆらとかきまぜて二人を引き合せるようにしていたのだとか。上記の歌(平安時代)の名残が感じられる、心憎い風習です。

水に星を映すの、ちょっといいなと思ったけど、現代都市のあの暗い星空で再現できるものでしょうか。いや、むしろ満天の星空でも、星って水面に映るものなのか。

なんて言っちゃったら野暮ですかね。そんなことを言い始めたらそもそも、現代の星空は天の川もろくに見えないから、彦星と織姫も会いたい放題……なんて言ったら情緒がなさすぎますね。

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