神社でこんな感じの、葉っぱ(チガヤというイネ科の植物)でできた大きな輪っかを見た事があるでしょうか?
これ、「茅の輪(ちのわ)」と言って、「大祓(おおはらえ)」という神事で使われるものです。
「大祓」とは?
日常生活で知らず知らずに犯してしまった罪や穢れを祓い去り、活力を失った心身に生気を蘇らせるための神事。
『鎌倉のまつり・行事 小事典』(かまくら春秋社)より
そのはじまりをざっくりご説明しますと、下図の感じになります。
蘇民将来、人助けした。その相手が実は神様だった!(よくあるやつ)
神様・スサノオはご褒美に、蘇民将来の一族に幸運の「茅の輪」を授けます。
これつけてると、疫病にかからないよ!
そんな由緒あるラッキー(?)アイテムが、大祓の始まり。
神事では、人間より大きなサイズの茅の輪をくぐることで、穢れを祓います。
鶴岡八幡宮の「大祓式」に行ってきたレポ
東京の会社の近くにあった八幡宮にも、いつも6月ごろになるとこの大きな茅の輪が置いてありました。
茅の輪の横に説明板が置いてあったので、そのときはそれを見ながら一人でぐるぐると茅の輪をくぐってましたが、今回鶴岡八幡宮で「大祓式」をやると知ったので、実際に参加してみたくなりました。
「大祓式」は6月30日、11時・13時・15時・17時の回があります。
この日は15時の回を目指して、14時45分ごろに八幡宮に到着。
お初穂料は、「お気持ち」だそうです。特にきまりはないので、自分でちょうどよいと思う金額で大丈夫みたいです(と言っても、最初は戸惑いますよね……)。
この日は雨!14時45分に行った私でぎりぎりテントの下に入れましたが、始まるころにはそのうしろのテントの外にも結構な人が並んでいました。
「切麻(きりぬさ)」という、霊験あらたかな紙吹雪を「祓い給え、清め給え」と言いながら体にふりかけます。
私は説明を聞き逃してしまってちゃんとできなかったんですが、左、右、左と交互にかけるのだとか……。
そして「人形(ひとがた)」という人の形をした紙で体を撫で、息を吹きかけます。
陰陽師がよくやってる、あれです……!!
この「人形」が自分の穢れを吸い取って、身代わりになってくれるのですね。ありがとう、「人形」くん……。
この辺の順番がちょっと正確に思い出せないんですが、このあとこの「人形」を後ろの列の人から前の列の人まで回して集めたり(ちょっと共同作業感ある)、みんな一斉に頭を下げて八幡宮の職員さんに「大幣」でお祓いしていただいたり、ということがあります。
そして!「大祓詞(おおはらえことば)」という長い長い祝詞を、みんなで一斉に読み上げます。
ちゃんとルビも振ってあるし、息継ぎのポイントもわかるし、そんなに難しくない!
でも、代表で読み上げてくださってる職員の方の朗々たる読み上げがプロすぎて(どこで息継ぎしてるのかわからない!)、貧弱な声帯の持ち主の私は若干息が切れました。
中学校の時、グループのみんなに置いてかれ気味でひいひい言いながら登った高尾山を思い出しました……。
がんばって読んだら、最後の部分は読み上げの方が節をつけて(?)流麗に読み上げてくださいます。
なんか、自分のたどたどしい読み上げも、こうやって最後に綺麗に読み上げていただくことで、ちゃんと想いが飛んでいくような……
なんだろうこの感動は。どこかで体感したことがあるぞ。と思ったら、あれです。
好きなアーティストのライブで、セットリストも終わりの方になって、ファンに人気の曲をやる。最後の方のサビの繰り返しのところで、急にアーティストが歌うのをやめて、ファンのみんなに「歌って?」みたいな感じで振ってくる……ファンたちはドキドキしながらも一生懸命歌う、それをしんみりと聴くメンバーたち……で、何フレーズか歌ったら、アーティストがファンの気持ちを受け取ったよみたいな感じで、また歌い出す……その感動に似ている!(長い)
みんなで読み上げてる途中、風がサアーっと吹いて、すこし雨脚が強くなったのも、なんか言霊パワー……!という感じがしちゃいました。
祝詞という時点で言霊の力が詰まっているでしょうし、それをみんなで一斉に声にして読み上げるというのも、やっぱり何かしらのパワーが湧いていそうな気がします(日本語は声にした時に一番パワーが出るものだそうです。和歌もね!)
一列ごとに茅の輪くぐりの場所に向かいます。
するとそこには、白い番傘を持った白い麻呂さんの姿が……!?(職員さんです)
この傘が予想外すぎて、穢れを祓いに来たことも忘れて、白い麻呂さん(何人かいらっしゃる)を目で追いかけました(申し訳ない)
本当、あいにくの雨だと思っていたけれど、「雨ありがとう」!!
そうこうしているうちに茅の輪をくぐる順番がやってきました。
10人前後?くらいのグループになって、白い麻……先導役の職員さんの後ろについて茅の輪をくぐります。
くぐるときは、一礼はしなくて良いとの説明がありました。
1回くぐったら八の字に大きく歩いて、もう1回、また八の字、そしてもう1回。
計3回、茅の輪をくぐりました。
歩いている間には待機している他のグループが茅の輪をくぐっていたり、なんだかとてもシステマチックな感じになってました。
茅の輪をくぐったあとは、お神酒をいただいておしまいです。
最初受付したときにいただいたお札と、希望者は小さな茅の輪を買うことができます(白い麻呂さんが背中にさしていたものです)。
14時45分ごろに到着して、終わったのが15時45分くらい。ちょうど一時間くらいだったでしょうか。
「大祓式」で祓うのは自分の分の穢れだけ
「人形」で体を撫でて自分の穢れを祓うという儀式なので、当たり前といえば当たり前なんですが、たとえばその日来ていない誰かの分の穢れも祓う、というのは基本できないみたいです。
直接「大祓式」に行けない場合は、事前に社務所で「人形」をいただくことができるので、それを「大祓式」の日までに郵送してくださいとのこと。
私もその日家族の分までやろうかなーと思って行ったんですが(「厄落とし」みたいな感じで考えてました)、社務所で「人形」はいただけるものの、「大祓式」には当然間に合わないので随時行っているお焚き上げの時に焚き上げます、とのことでした。
さいごに
あんまり穢れ……というか煩悩(これは仏教!?)を落とせていないまま臨んでしまいましたが、この儀式で穢れを祓っていただいたので、もうすこし品行方正に生きよう。ブログも頑張ろう。と思いました……。
鶴岡八幡宮「大祓式」は6月と12月の年二回行われるそうですが、きっと自分を見つめ直す良い機会になるのだと思います。
罪も穢れももちろんだし、自分が半年間、神様に恥ずかしくないような生き方をしてこれたかなーという確認にもなるんじゃないでしょうか。
神様に恥ずかしくない生き方、これがまた、むずかしいんですけどね……!
ちなみに、八幡宮の境内にはすでに七夕のかざりがたくさんありました。七夕のお祭りも楽しみですね……!蓮の花も良い感じで咲き始めています。
ひきつづき鎌倉をチェキ!(古い)していきたいと思います〜。
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